ここ数年でやっと日本でも健康経営と言う言葉が浸透してきたように思います。

しかしこの「健康経営」という概念。
実は1980年代にアメリカの心理学者ロバート・ローゼン氏によって提唱された「健康な従業員こそが収益性の高い会社を作る。」という「ヘルシーカンパニー思想」が発端となっているのです。

従業員の健康管理や健康づくりの推進は単に医療費の削減ということだけでなく、生産性の向上や従業員の創造性の向上、企業イメージ向上などの効果が得られるだけでなく、企業におけるリスクマネジメントにもつながります。

GoogleやNASAが従業員の健康推進で重視していること

「世界の魅力的な企業ランキング」第一位のGoogle。
そして宇宙空間という特殊な環境での作業をする宇宙飛行士がより効率よく安全に作業するために研究がなされているNASA。

この2つの企業が最も重要だと結論づけたポイントが2つありました。

第一は「血糖値の管理」

日本でも今年になってやっと「血糖値スパイク」という言葉がメディアなどでも紹介されるようになりましたが、まだまだそれを実生活に生かしている人は少ないはず。朝食はパンとコーヒー。
お昼はササッと食べられる麺類や丼もの、もしくは何となくヘルシーなイメージだという理由でサンドイッチのみ。
こうした食事例を見ても一般的だと思う人も多いでしょう。

しかし空腹でいきなり炭水化物(糖質)を食べてしまうと、血糖値が急上昇。食後1時間ほどでピークになり、それに伴いインスリンが大量に分泌され血糖値が1時間ほどで急降下。
これをグラフ化するとトゲのように尖った形になることから「血糖値スパイク」と呼ばれています。

血糖値が高い間は脳のパフォーマンスがいいのですが、血糖値が急降下すると脳のパフォーマンスも急激に低下し、その状態が約3時間も続くのです。
朝食後1時間といえばちょうど会社に着いたくらいの時間ではないでしょうか。
それから3時間低いパフォーマンスが続き、お昼を食べて15分~30分は消化のために消化器官に血流が集中するため、脳への血流量は減少し眠気を誘います。

そしてまた血糖値スパイクが起き、3時間もの間低いパフォーマンスで仕事をする。
そう考えると、食事次第で1日のうち6時間も脳のパフォーマンスが低い状態にあるという、とても残念な状況になっているということです。

GoogleやNASAが血糖値管理を最重要課題にしているのも理解出来ますね。

 

第二は睡眠時間

Googleは従業員に対して睡眠指導も重視しており、休日も平日と同じ時間に起きるよう指導しているそうです。

一般的に平日と休日の起床時間のズレは3時間程度もあると言われているのですが、これでは体がこの時間差を時差と認識し時差ボケを起こしてしまうため、月曜日の朝からカラダがダルい、頭がスッキリしないといった状態になり、この時差ボケが当たり前になると「不調が普通」の状態に陥り当然のことながら、パフォーマンスは低下します。

食べる順番を厳守し食後直ぐ体を動かす

もう飽きるほど言っていることですが、食事は野菜、海藻、キノコ類などの食物繊維の多いものから食べ、次に肉や魚のタンパク質、最後にご飯やパンなどの炭水化物を食べること。

そして食後すぐに体を動かすことも効果的。
食後じっとしていると消化器官に血流が集中し、小腸からの糖の吸収も活発になります。
しかしその時点で体を動かすと、消化器官に行くはずの血液の一部が筋肉に向うため消化吸収が遅くなり、血糖値の上昇を抑えることが出来るのです。

そうは言っても激しい運動をする必要は無く、10分~15分歩くだけでも効果があるので、外食するなら少し遠いお店に行くだけでもいいでしょう。

「そうは言ってもなかなかね。」と言っている間に、血糖値スパイクによって血管が傷づけられ動脈硬化が進み、休日の朝寝坊で自立神経が乱れ…まぁ脅かすようなお話(真実ですが)はこれくらいにしておきましょう。