年末年始の休暇中に体重が増えたせいだろうか?
体が重くて動きたくない。
外出したくないのは寒さの制?

何となく人と会うのも億劫だ……。

そして年末年始の休暇中後の三連休で更に出社が憂鬱になる。そんな気分を何とか押し殺して出社した人も少なくないのではないでしょうか。

あなたのデスクは日が当たりますか?

インターネットで「冬季うつ」を検索すると押し並べて「冬の日照不足によるセロトニンの減少から気分の落ち込み、異様な眠気、過食⇒紫外線(日光)で改善」という内容になっています。

確かにこの秩序に間違いはありません。特にデスクワークの場合、出社時のお天気が良ければ、日光に当たることは出来ます。しかし曇天が多いこの時期に仕事中、紫外線を浴びることもなく、退社時には日が暮れている。そんな毎日では確実に紫外線を受ける時間が減少してしまいます。

何故、紫外線が必要なのか。

近年、紫外線はただただ悪者扱いされる傾向が強くなっていますが、実は皮膚が紫外線に当たることで体内ではビタミンDが生成されます。ビタミンDは通称「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンという神経伝達物質を正常に機能させてくれる働きを持っているため、ビタミンD不足になると脳内のセロトニンレベルも低下してしまいます。

 

これは2002年、メルボルンの研究者Lambert氏らによる研究結果ですが、健康な人でも冬にセロトニンの脳内利用率が低下しているのが分かります。
この研究では脳内セロトニン利用率は気温や降雨量とは関係なく、検査当日の朝の日照時間と強く関係することが明らかになり、紫外線はわずか数時間のタイムラグで脳内セロトニン機能を調整している可能性が高まったと結論付けられています。

※参照論文 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12480364

 

闇雲に日光に当たればいいわけではない!?

ではビタミンDさえ足りていれば抑うつ気分が解消されるかといえば、そうでもありません。
セロトニンの約90%が腸内で生成され、2%が脳内、残りの8%が赤血球で生成されていると言われていますが、セロトニンの生成には必須アミノ酸の一つ、トリプトファンが主原料となっているため、トリプトファンを多く含むバナナやマグロ、肉類を摂取することも必要です。ただしトリプトファンだけなく鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、葉酸、ビタミンCなどさまざまな栄養素が必要となってきます。

そこを考えると、はやりバランスの良い食事が必要なのは言うまでもありませんね。

ちまたでは「手軽さ」が重視されているので「日光だけ」「トリプトファンさえとれば!」という情報が目立ちますが、私たちの体はそこまで単純ではないようです。