この夏の酷暑で減退していた食欲も大きく盛り返してきたのではないでしょうか。

服装もジャケットなどの上着が必要になり体型も隠せる(ごまかせる)のも手伝って、毎年秋から冬にかけて太る人が多く見られます。
「だって秋は新米に魚だって脂がのって美味しいし……。」

そんな声が聞こえてきそうですが、ここで敢えて体重増加注意報を発令しておきましょう。

読書の秋、スポーツの秋に続いて今回は食欲の秋をテーマに取り上げてみたいと思います。

なぜ秋になると食欲が増す?

秋に食欲が増すのにはさまざまな原因がありますが、まず日照時間の減少が考えられます。
精神の安定化を保つ作用のある脳内セロトニンは日光に当たることで分泌が促進されますが、日照時間の減少するこの時期は日光によるセロトニンの合成量が低下してしまいます。

脳内セロトニンは精神の安定だけでなく、生体リズム、睡眠、体温調節、食欲抑制などにも関わっているため、正常な身体機能を維持するためには欠かせません。

そうです。

セロトニンの合成減少が食欲増進のひとつの原因なのです。

セロトニン合成に必要な栄養素

セロトニンの合成に必要なのは必須アミノ酸のトリプトファン、トリプトファンからセロトニンを合成する為に必要なエネルギーの元となる糖質、そしてビタミンB6。最低限この3つの栄養素がセロトニンの合成には欠かせません。

 

トリプトファンを多く含む食品

大豆製品(豆腐・納豆・豆乳・きなこ等)

乳製品

卵(鶏卵・たらこ・すじこ等)

ナッツ類(アーモンド・ピスタチオ・ごまなど。ただしピーナッツは除く)

かつお・かつお節

アボカド

バナナ

 

ビタミンB6を多く含む食品

魚類(鮭・秋刀魚・鰯・まぐろ・かつお・鯖など

にんにく・しょうが・

バナナ

豆類(大豆・レンズ豆・ひよこ豆など)

 

糖質の多い食品については、多くの人が言わずもがな摂りすぎと言えるほど摂っているでしょうから、省略します。

気温が低下すると上がる基礎代謝

通勤など屋外にいる時の代謝は気温が低下すると体温を保持するために熱産生が高まり、基礎代謝が上がります。

そのためエネルギー消費量が増えるので、食欲が増すとも言われています。

 

原始的な本能

人間の長い歴史の中で今のようにいつでも何でも食べられるというのは、たかだかここ数百年のこと。
それまで何万年もの間飢餓との戦いをしてきたので、作物が少なくなる冬に向けて、実りの多い秋にしっかり食べて体にエネルギー源(脂肪)蓄えておこうする生物としての本能的な摂理があるとも言われています。

他にも近年の傾向としては、メディアやSNSで美味しそうな画像を見ることで起こる視覚情報からの食欲の影響も大きくなってきていますが、これはあくまで「偽の食欲」と呼ばれるものです。

色々言い訳して体重を増加させ、不健康な体作りをするよりも、必要なものを食べて少しでも日光に当たり体を動かす、読書をするなど、本当の意味で体に優しい秋をお過ごし下さいね。