デスクワークが長時間続くと、つい背中が丸くなり顎を突き出すいわゆる猫背の姿勢になる人が多く見られます。

先日、お邪魔した健康経営に関連する商品を扱う会社でも猫背、口呼吸の人が複数人目につき「人に云々言う前に、自社の社員の日常をチェックした方がいいのでは?」と心の中で突っ込んでいました。

猫背になると顎が前に出て、口呼吸になるわけですが口で呼吸をしても酸素の取り込みは出来ますが、一緒に今猛威を振るっているインフルエンザウイルスなども口の中に取り込みやすくなります。そして口の中が乾くドライマウスという状態になるのですが、ドライマウスになると味覚が鈍る味覚障害になりやすいとのこと。

増加するドライマウスと味覚障害

少し古いデータですが、2000年と2002年に耳鼻咽喉科を受診した味覚障害患者数は約24万人。
しかし味覚障害はよほど酷くない限り患者本人が気づかないため実数はその10倍とも言われています。

味覚障害には亜鉛不足や薬の副作用などさまざまな原因がありますが、今回はドライマウスに絞ってご紹介したいと思います。
ドライマウスとはその名の通り口の中が乾く症状のことを指しますが、実は「乾く」というよりも「ヒリヒリする。」とか「ベタベタ、ネバネバする。」と感じる人がほとんどのようです。

2月10日頃から花粉の飛散が始まるようですが、花粉症で鼻が詰まると更に口呼吸の人が増えると考えられます。

何故、ドライマウスになると味覚が鈍るのでしょう。
実は口腔内の歯肉意外の粘膜全体には小唾液腺という唾液を分泌する腺があるのですが、ここから分泌される唾液には味を感じる味蕾細胞を保護する働きもあるのです。

ドライマウスはこの小唾液腺からの唾液の分泌量の減少が見られるため、口の中が乾き、味覚が鈍ってしまいます。

味覚が鈍ると当然、濃いめの味付けを好むようになり砂糖の過剰摂取や、安価な味噌、醤油を使用している際にはナトリウムの過剰摂取になり、肥満や糖尿病、高血圧へと繋がっていきます。

うま味に唾液分泌作用あり

東北大学大学院歯学研究科口腔診断学分野教授の笹野氏が第21回日本病態栄養学会(1月12日~14日)で報告した内容では、昆布だしのうま味成分が唾液の分泌を促進し、その作用は長時間持続されるとのことです。

梅干しを想像するだけで唾液の分泌量が増えるのは経験された方も多い事でしょう。
しかし酸味の唾液分泌作用は短時間であるのに対して、うま味の作用は長時間続くことがグラフを見ても分かります。

そこで同氏によると500ccの水に40gの昆布を一晩つけたものを1日10回、30秒間口に含むと2週間ほどで唾液分泌を実感出来るとのことです。

しかし昆布40gというと、だいたいスーパーで売っている昆布一袋分。
結構な量ですよね。
「そこまでするほどでもないし……。」と思われる方は、まずは噛む回数を出来るだけ増やすことをお勧めします。

咀嚼回数が増えると唾液の分泌量が増えるだけでなく、集中力が上がったり食べ過ぎによる肥満の防止にも繋がるので一石二鳥になることでしょう。