今回は睡眠不足が引き起こす体重増加と生活習慣病についてご紹介したいと思います。

日本人の睡眠時間

日本の子どもたちの睡眠時間は世界一短いのは有名な話ですが、これは大人の睡眠時間が短いことに起因しています。

実際に就労者の睡眠時間の国際比較を見てみると対象国の中で最も睡眠時間が長いフランスでは男性8時間24分、女性8時間38分に対して日本の有職者の睡眠時間は男性7時間52分、女性7時間33分となっています。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html

このデータを見た時に実際に筆者の周囲の人たちの睡眠時間よりも長いと思いました。
そしてもう一点、興味深かったのが他の国は男性よりも女性の睡眠時間の方が長いのに対して日本だけが女性の睡眠時間の方が短いということです。

 

何故、睡眠不足は生活習慣病のリスクが高まるか

一般的なイメージでは睡眠不足になると、起きている時間のエネルギー消費が大きく、睡眠不足による食欲不振で痩せるのではないか? と“勘違い”されているようです。

しかし実際には睡眠不足になると食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌が減少し、食欲を増進させるグレリンというホルモンの分泌が増加します。
しかもグレリンの分泌が増加すると脂質や糖質に対する欲求が強まるため、こってり系のラーメンや揚げ物、ケーキといった脂質・糖質ともに多いものを食べたくなるという質の悪い欲求が強くなります。

もちろん、こうした嗜好が強くなると太るだけでなく、糖尿病や高血圧、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患といった生活習慣病にかかるリスクが高まります。

でも「自分は大丈夫!」だと思っていませんか?

そうですね。

“今”はきっと大丈夫でしょう。

しかし私がこれまで延べ3万人以上の人と関わってきた中で、大病された人全員が口にした言葉が「まさか自分が!」でした。

生活習慣病にもそれにかかるプロセスがあります。

その発端のひとつが睡眠不足。
もしかしたら早死によりもつらい、不自由な体での長生きのリスクの方が高くなるかもしれません。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/img/k-02-008-3.png

「生命予後の悪化」嫌な言葉ですね。

ある意味、食事の改善や運動よりも簡単にできるのが、十分な睡眠をとることだと思います。まずは早めの就寝を心がけてみて下さいね。