第6回グループE – 性ホルモン

皆さん、こんにちは。
前回は「ストレス調整と防御のホルモン」としてコルチゾールに焦点を当てました。

今回は「グループE – 性ホルモン」に話題を移します。性ホルモンと聞くと、男性ならテストステロン、女性ならエストロゲンといったイメージが強いかもしれませんが、実は男女ともに両方のホルモンが必要です。さらに女性の場合はプロゲステロンも大切です。

ここでは、以下の3つを中心にお伝えします。
1. テストステロン(Testosterone)
2. エストロゲン(Estrogen)
3. プロゲステロン(Progesterone)

1. テストステロン:活力と闘争心を司る

役割
– 筋肉や骨格の形成・維持、リビドー(性欲)、闘争心・意欲などに深く関わるホルモン。

– 男性ホルモンとして有名ですが、女性にも少量分泌されており、やる気や骨密度維持のために重要。

– 適度に高いレベルだとパワフルさと積極性をもたらしますが、過剰だと攻撃的になったり皮脂分泌が増える可能性があります。

テストステロンを保つコツ
1. 筋力トレーニング
ウェイトトレーニングやスクワットなどのレジスタンス運動はテストステロン分泌を高める有効な手段。

2. 良質な脂質とビタミンD、亜鉛の摂取
卵黄や青魚、ナッツ類、キノコ類などを適度に食べ、テストステロン合成に必要な栄養をサポート。

3. ストレス管理
慢性ストレスでコルチゾールが高い状態になると、テストステロンの生成が阻害される。

2. エストロゲン:女性らしさと安定感

役割
– 女性ホルモンの代表格。
女性らしい丸みのある体型、肌や髪のコンディション、骨の健康などを支える。

– 更年期以降にエストロゲンが減少すると、骨粗鬆症やホットフラッシュ、不安定な気分など様々な症状が出やすくなる。

– 男性にも少量存在し、骨や心血管系の健康に寄与すると考えられています。

エストロゲンを保つコツ
1. 大豆イソフラボンの活用
豆腐、納豆、豆乳などに含まれるイソフラボンはエストロゲン様作用を持つとされます。ただし過剰摂取には注意。

2. 適度な運動で骨を刺激
エストロゲンが下がる更年期以降は特に、ウォーキングや軽負荷の筋トレなどで骨に適度な負荷をかけ、骨密度低下を防ぐ。

3. ホルモン療法も視野に
更年期症状が重い場合は、婦人科でホルモン補充療法(HRT)を含めた治療を検討するのも一手。

3. プロゲステロン:女性の周期調整と不安緩和

役割
– 排卵後、黄体から分泌される女性ホルモン。受精卵の着床や妊娠の維持、乳腺の発達などに関与。
– メンタル面にも影響を与え、不安を和らげ、鎮静作用を及ぼすとも言われています。
– 生理前に急激に減少するため、PMS(生理前症候群)の一因とされることも。

プロゲステロンをサポートするコツ
1. 生活リズムとストレスコントロール
女性のホルモンバランスはデリケートで、睡眠不足や過度なストレスでプロゲステロン分泌が乱れやすい。

2. 体を冷やさない
下半身を温める、湯船での入浴などは血行を促進し、プロゲステロンの安定に寄与すると考えられている。

3. 適度な脂質摂取
ホルモン合成にはコレステロールも必要。極端な脂質制限ダイエットはホルモン生成にマイナスとなる場合がある。

性ホルモンの乱れを疑うサイン
– 急な体重増減や筋力低下
– 生理不順やPMSの悪化(女性)
– 性欲の減退や疲れやすさ
– 骨がもろくなったり、骨密度の低下
– 情緒不安定やうつっぽさ、イライラ

これらが気になる方は、婦人科や内分泌科でのホルモン検査を検討するとよいでしょう。

セルフケア:男女ともに大事なホルモンバランス

– ストレスをためない
コルチゾールとの拮抗作用があり、性ホルモンはストレスの影響を受けやすい。

– 運動習慣をもつ
適度な筋トレや有酸素運動はテストステロン・エストロゲンのバランスを整え、骨や筋肉の健康維持にも貢献。

– 良質な睡眠
性ホルモンは睡眠中に分泌・調整が行われやすい。

– 定期的なチェック
更年期症状や不妊、性欲低下など気になる症状があれば専門医に相談して適切なケアを。

まとめ

性ホルモン(テストステロン、エストロゲン、プロゲステロン)は、私たちの身体的特徴からメンタル面、さらには骨や筋肉の健康維持までも左右する重要な存在です。
「女性ホルモン」「男性ホルモン」という区分はありますが、どちらの性別にも両方のホルモンが存在し、それぞれ必要な量が違うだけで、本質的には誰にとっても大切なもの。
ライフステージや加齢、ストレスなど、さまざまな要因でバランスが変化しやすいため、日常的なセルフケアと定期的な健康診断で上手に付き合いましょう。

次回は同じグループEに分類した「代謝調整ホルモン」、つまり甲状腺ホルモンを取り上げます。
体温やエネルギー管理に関与する甲状腺ホルモンの重要性を改めて掘り下げますので、どうぞお楽しみに!