第4回グループC- 愛情と絆形成のホルモン
皆さん、こんにちは。
前回は「やる気や報酬系、ストレス関連のホルモン」を扱い、ドーパミンやアドレナリン、エンドルフィンのパワフルな一面とリスクについて学びました。
今回の第4回はそれとは一転、「グループC – 愛情・絆形成のホルモン」に目を向けます。
現代社会では、情報や仕事があふれる一方で、人と人とのつながりが希薄になりやすいとも言われます。
そんなときに注目されるのが、以下の物質です。
1. オキシトシン(Oxytocin)
2. バゾプレシン(Vasopressin)
これらは「愛情ホルモン」「絆ホルモン」と呼ばれ、人と人との親密な関係を築くうえで重要な役割を果たしていると考えられています。
1. オキシトシン:愛情ホルモンの代表格
特徴と役割
– オキシトシンは下垂体後葉から分泌され、出産や授乳の過程で大量に分泌されることで知られています。
– それだけでなく、人とのスキンシップや信頼関係が深まるときにも分泌されることがわかっており、「愛情ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれます。
– ストレスホルモンのコルチゾールを抑制し、不安感を和らげる効果も期待されています。
日常生活での増やし方
1. スキンシップ
パートナーや家族、ペットに触れたり、ハグや手をつなぐなどの行為がオキシトシン分泌を高めます。
2. 感謝や共感を伝える
口頭やメッセージで「ありがとう」と言い合うだけでも、互いのオキシトシンが分泌されやすくなるとする研究があります。
3. マッサージやリラックス
自分の体をいたわるようなセルフマッサージ、あるいはエステなど人から受けるマッサージもオキシトシンを促進。
2. バゾプレシン:絆と水分調整を担う多機能ホルモン
特徴と役割
– バゾプレシンは「抗利尿ホルモン」として腎臓での水分再吸収を促すことで知られていますが、脳内ではオキシトシンと同様に社会的行動やペアボンド形成に関わるといわれています。
– 研究によっては、男性のペアボンド(絆)形成に特に寄与しているという報告もあります。
– 血管収縮作用もあるため、ストレス下で血圧を調整する一面も。
バゾプレシンを意識するうえでのポイント
1. 適切な水分バランス
脱水や過剰な水分摂取はバゾプレシンの分泌リズムを乱す恐れがあります。喉の渇きに合わせたこまめな水分補給を。
2. オキシトシンとの関連
バゾプレシンも「愛着」や「信頼」を高める作用があるとされ、オキシトシンとの共同作業で良好な人間関係を育む可能性が。
3. ストレスとの兼ね合い
バゾプレシンは血管収縮を促すので、長期的なストレスにさらされると血圧上昇のリスクがある。リラックス習慣や軽い運動で血圧管理を心がけたい。
グループCが乱れるときに起こりやすい問題
1. 孤独感・不安感の増大
オキシトシン不足でストレスホルモンが増えやすく、孤立を感じる場面も増えるかもしれません。
2. 対人関係のトラブル
信頼関係の構築が苦手になったり、人と接するときに必要以上に緊張する。
3. 血圧の乱れ
バゾプレシンが過剰に働きすぎると、高血圧を助長する可能性があります。
セルフケア:愛情ホルモンを増やす習慣
1. スキンシップを生活に取り入れる
忙しくても朝夕にハグや手をつなぐ、ペットをなでるだけでも小さなオキシトシンブーストが得られます。
2. 「ありがとう」を惜しみなく
家族や同僚、友人など身近な人への感謝を意識的に伝える習慣が、オキシトシンを通じて人間関係の質を向上させるでしょう。
3. 共同作業・ボランティアに参加
他者と協力して何かを成し遂げる体験は、オキシトシンやバゾプレシンをともに高めると考えられています。
地域活動やイベント、趣味のサークルなどに積極的に参加してみてください。
まとめ
グループCに属するオキシトシンとバゾプレシンは、「人間関係を豊かにするホルモン」と言っても過言ではありません。
ストレス社会で一人で頑張りすぎると、これらの物質が十分に分泌されず、心理的にも生理的にも追い込まれる状況に陥りがちです。
ちょっとしたスキンシップや感謝の言葉を意識するだけでも、ホルモンバランスが変わり、心の安定や他者への優しさを実感できるはずです。
次回は「グループD – ストレス調整と防御のホルモン」として、コルチゾールについて詳しく見ていきます。
ストレスホルモンとして有名なコルチゾールが、なぜ私たちの身体には必要なのか、そしてどのように暴走を防ぐかを学びましょう。
お楽しみに!